10名の審査員それぞれが選んだ上位3名の講評です。
ファイナリストの皆様はもちろん、これから別れの曲 / ショパンを練習しようと思っている方など、ぜひご参考くださいませ。

新垣 隆 / Takashi Niigaki

第1位 / 石井 亜季

詩情豊かな味わい深い演奏でした。

第2位 / ゆきたけ

音色、響きのコントロールが良く、詩情と幻想の世界が見事に描かれていました。

第3位 / Yurico

歌の表情が聴き取れ、曲全体のドラマを見事に描いていました。

前田 祐里 / Yuri Maeda

第1位 / キャロラインみか

良く練られた素敵な演奏でした。
大切に弾き込んで来られたのではないかと拝察いたします。
タッチの変化に富み、ピアノの演奏にちゃんと向き合ってこられたことが窺い知れ、大変好感が持てます。
速い部分の和音のバランスをもう少し整理するとより良い演奏になるのではと思います。

第2位 / ゆきたけ

大変美しくタッチによる音色の変化も素晴らしいです。
重音のスラーの際内声部が切れてしまうことがたまにありました。
腕を降ってしまわない方がいいと思う箇所が個人的にありました。
速い部分がダイナミックで素敵でした。

第3位 / Noppe

音楽の運び方がとてもエレガントです。
もう少しゆったりしたりテンポの揺れや強弱の微妙なニュアンス、タッチによる音色の変化があると立体感がありもっとよくなると思います。

山本 有紗 / Arisa Yamamoto

第1位 / ゆきたけ

曲を良く研究されていて完成度が高い演奏でした。同じメロディーでもテーマと再テーマでは弾き方を変えていて表現の面でもとても素晴らしかったと思います。他の曲も聴きたくなりました。

第2位 / Noppe

一曲を通してストーリー性がありとてもまとまった良い演奏でした。完成度が高く演奏に安定感がありますね。強弱のピアノ(p)部分やフレーズの最初の音をもっと大切に繊細に弾けるとハッと人を惹きつける演奏になると思います。試してみてください。

第3位 / キャロラインみか

ストーリーのあるとても良い演奏でした。特にテーマは豊かな響きでメロディーも歌えていて良かったです。再テーマが来る前の盛り上がるところ(減7の部分)では、音量はフォルテですが繊細な和音の変化を音色でもっと表現できるとさらに素敵な演奏になると思います。

ロー磨秀 / マシュー・ロー

第1位 / Noppe

メロディの音色と内声の弾き分け、とてもよいです。電子ピアノでも伝わります。構成力、素晴らしいです。毎回、どの曲でも大きく曲を捉えて構成し、とても説得力のある演奏をなさるのが印象的です。手首や肩甲骨の使い方もお上手です。全体を通して一つ言えることは少しテンポが速すぎます。大きく曲を見れて構成していらっしゃるので、逆に速めになってしまうのかもしれません。少し意識なされると良いと思います(コンクールだと突つかれるポイントでもあるので)。Strettoの後のm.54〜、まだ前の心の荒れ模様が残っていて、それが徐々に鎮火していく方向の方が構成として上手くハマるかなと思います。最初から少し安定しすぎていて停滞して聴こえるかな、と思いました。また演奏聴かせていただけるのを楽しみにしています。

第2位 / キャロラインみか

曲への愛を感じる演奏でした。また流れがよく、全体を見通した上で曲をまとめていらっしゃり、聴き応えがありました。メロディ、もう少し遠くまで飛ばす意識を。FFの盛り上げ方良いです。m.21の前打音、もう少しさりげなく(重くならずに。少し前にいれても良いと思います)。中間部、テンポを押すのを早くからやりすぎている気がします。もう少しスロースタートで。全体的にテンポがもう少し落ち着いていた方が良いと思います。流れはよいです。

第3位 / 石井 亜季

音色がとても美しいです。この曲はフランスでは「Tristesse(哀しみ)」という名称で知られています。内省的な抑えた音色が大変美しく、この順位をつけさせていただきました。もしかして全曲通してU.C.を踏んでいますか?そうだとしたら、もう少しダイナミクスの意味ではメリハリがあった方が良いなと思って聴きました。 出だし、伸びますが8分音符のアウフタクトという意識は忘れず。右手の中でもう少しメロディと内声の音色の弾き分けができると。 FF、もう少し盛り上げても(U.C.の質問に戻ります)。 m.32〜の形、ヘミオラをもう少し意識して(M.46〜のcon bravuraも同様)。音楽的には何とも伝わるものがありました。メロディの長い音、遠くまで伸びる意識を。

福原 彰美 / Akimi Fukuhara

第1位 / ゆきたけ

表現力、構成力、リズム感が良く、全体的に完成度の高い演奏でした。1音ずつ手首を上げる、ポルタメント奏法のような弾き方をされていますが、特に旋律はレガートタッチを意識して弾かれたら、さらに表現の幅が広がるのではと思いました。

第2位 / 石井 亜季

曲想に合った音色で演奏されており、フレーズを自然に歌われているのがとても良かったです。中間部の技巧的なパッセージは、もう少し大きな呼吸感で演奏できたら、さらに良いと思いました。33小節と37小節の上昇パッセージを(38〜42小節も同じ)、最後の最高音までクレッシェンドが続いていることを意識して弾いたり、その後に続くcon forzaではバスを豊かに響かすなど、細部に気を配ることができれば、さらに素晴らしくなると思います。

第3位 / キャロラインみか

テクニックが安定していて、曲の構成をハッキリと表現されていて良かったです。1〜14小節の内声がメロディーを覆ってしまわないようコントロールして弾くこと、con bravuraのような技巧的なパッセージでも作品に相応しい歌心を失わずに演奏できれば、さらに良いと思います。

星村 あかね / Akane Hoshimura

第1位 / Noppe

とても自然に中間部のクライマックスまでの流れが演出されていて、こなれた演奏です。再現部はもう少し引き算の表現ならいっそう引き立ったように感じます。

第2位 / ゆきたけ

幅広いダイナミクスに見合う豊かな表現力です。この曲としてはやや硬質なフレーズづくりに感じましたが、堂々たる演奏でした。

第3位 / キャロラインみか

安定感のあるテクニックで安心して聴けました。個々の部分は素晴らしい一方、特に中間部でフレーズとフレーズのまとまりがもっと欲しいと感じました。

菊地 沙織 / Saori Kikuchi

第1位 / キャロラインみか

心に柔らかく触られるような感覚から、グサっとくるような、えぐるような激しさまで、、、様々な音の表現を聴かせて頂きました。3ページのなかで、どれだけこの別れが辛かったか、そして幸せな日々の思い出まで映像が出てくるようでした。

第2位 / 石井 亜季

繊細な部分、激しさも描かれていて、随所のこだわりのある表現で素晴らしかったです。ショパンが好きな石井さんだからこその深部に迫る表現だったと思います。欲を言えば少し弱音が遠慮して歌っているような印象があり、もう少し深いところ、お腹の中からを感じられるとさらに素敵になるかと思いました。今年も素敵な演奏ありがとうございました!

第3位 / 高松 優雅

音色の引き出しが多種多様で素晴らしかったです。豊かで、心に柔らかく届く音、そして激しいけれどうちに秘めたような音。絶妙なニュアンスがこの「別れ」という曲の深部を表現されているように感じました、右手は外声内声のバランスもとてもよく、左手の使い方やベースの音の鳴らし方もとても素晴らしかったです。

降旗 真理子 / Mariko Furuhata

第1位 / ゆきたけ

自然で尚且つ絶妙な素晴らしいニュアンスで曲を弾き分けられていて、曲に対しての理解の深さが感じられました。
素晴らしいセンスをお持ちですね。
強いて言うなら、録音環境?もあるかもしれませんがベースラインがもっと重厚に響いてくる場所があるとよりダイナミックな演奏になるかもしれません。

第2位 / Noppe

毎年、演奏を聴かせて頂くたびに進化した音楽を聴かせていただきとても幸せです。
重音、和音の続く速いパッセージが続く場所でも骨格のはっきりとした芯のある音で弾けており、響きがとても豊かでした。
主部と再現部の歌い方ですが、少し旋律優先にになりすぎてしまうところがあり、内声のリズムが崩れてしまうのが惜しかったです。

第3位 / 石井 亜季

この曲が持ってる旋律の美しさを更に引き立たせるような内声と左手の伴奏がとても素晴らしかったです。
中間部の複雑な和声と速いテンポが相まって、不安定な感情が表現されていたりと、テクニック面も表現面でも素晴らしかったです。

山藤 佳世 / Kayo Sandoh

第1位 / ゆきたけ

1音目から非常に神経を使いとても繊細な曲ですが、両手の内声や外声の表現がとても素晴らしく、速いパッセージの和音もとても綺麗に演奏できています。
ショパンが故郷への想いを表したとされる作品ですが、そんなショパンの心情がとても伝わってくる演奏でした。

第2位 / キャロラインみか

ストーリーを感じることができ、音色がとても繊細で柔らかく、とても素敵な演奏でした。
ミカさんの中にものすごく取り込まれているのが伝わってきます。
速いパッセージの和音がもう少し繊細に演奏できるとより素敵な演奏になると思います。

第3位 / Noppe

流れるような旋律と内声のバランスがNopeeさんらしいとても素敵な演奏でした。
32小説目から速いパッセージでタイや和音が続きますが、安定して豊かな響きで演奏されていて、ペダルの使い方も絶妙でとても素晴らしかったです。
全体的に速かったので、もう少しゆっくり演奏されるとより心にグッと来るものを感じることができるかなと思いました。

ikki

第1位 / キャロラインみか

全体を通してとても素晴らしい演奏でした!ミスも少なく、堂々とし音楽的にも表現の仕方も1番です!

第2位 / ゆきたけ

最初サラッとした演奏に聴こえたのですがどんどん引き込まれていって最後は感動してました!
この曲の独自の解釈があるのでしょうか?演奏の構成が素晴らしく、音のバランスもとても良かったです!

第3位 / Yurico

とても力強さを感じました!技術的のも素晴らしく音楽的にも安定感のある演奏でした。

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